「就業規則がない会社に起きる3つのリスク|従業員10人未満でも作るべき理由」

労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する事業場に就業規則の作成・届出を義務付けています。

この規定を根拠に、「うちはまだ10人未満だから就業規則は関係ない」と考えている経営者は少なくありません。

ただし、法律上の義務がないことと、就業規則が不要であることは別の話です。

従業員が1人でも雇用関係が発生した瞬間から、「労働条件」「服務規律」「懲戒」に関するルールは会社と従業員の間に存在します。それを文書化していないということは、トラブルが起きたときに「ルールがない状態」で戦うことを意味します。

この記事では、就業規則を整備していない会社に実際に起きやすい3つのリスクと、その対処法を解説します。


リスク① 不当解雇・未払い残業代トラブルで「根拠なし」の状態になる

就業規則がない場合、解雇の基準・残業代の計算ルール・試用期間の扱いなどを会社が独自に定めた証拠がありません。

実際に起きやすいトラブル例

  • 試用期間中に解雇した従業員から「不当解雇だ」と主張された
  • 「固定給に残業代が含まれているつもり」だったが従業員には伝わっておらず、後から未払い残業代を請求された
  • 懲戒解雇を行ったが、就業規則に懲戒事由の定めがなく、解雇が無効と判断された

就業規則がない=会社のルールを証明する書類がない状態です。労使トラブルになった場合、会社は著しく不利な立場に置かれます。


リスク② 問題社員への対応ができない

「遅刻が多い」「業務命令に従わない」「他の社員へのハラスメント行為がある」——こうした問題行動に対して、会社は服務規律と懲戒規定を根拠に対応します。

就業規則がなければ、懲戒処分(戒告・減給・出勤停止・懲戒解雇)の根拠が存在しないことになります。

問題行動があっても注意しかできず、繰り返されても解雇できない——その状況が続けば、他の従業員のモチベーションや職場環境にも深刻な影響を与えます。


リスク③ 採用・定着に影響する

就業規則は、採用候補者や既存社員にとって「この会社はきちんとしている」と判断する材料の一つです。

求人票や雇用契約書に記載された労働条件と実態が乖離していた場合、それを第三者が確認できる書類(就業規則)がなければ信頼を損なうリスクがあります。

また、2024年4月から中小企業にも適用された労働条件明示ルールの強化により、就業規則の整備は採用コンプライアンスの観点でも重要度が増しています。


就業規則で最低限定めるべき3つの事項

労働基準法が定める「絶対的必要記載事項」(必ず記載しなければならない事項)は以下の3つです。

事項 具体的な内容
① 始業・終業時刻、休憩、休日、休暇 所定労働時間・有給休暇の付与ルール・特別休暇の定め
② 賃金の決定・計算・支払方法 基本給・残業代の計算方式・昇給・支払日・控除項目
③ 退職・解雇に関する事項 退職の手続き・解雇事由

これに加えて、懲戒の種類・事由(相対的必要記載事項:定める場合は記載必須)を明記しておくことで、問題行動への対応が可能になります。


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まとめ

  • 就業規則の作成義務は従業員10人以上の事業場に限られるが、10人未満でも就業規則は会社を守る盾になる
  • 整備していない場合、解雇トラブル・残業代請求・問題社員対応の3つのリスクが高まる
  • 最低限、始業終業・賃金・退職の3事項と懲戒規定を明文化するだけで防げるトラブルは多い
  • 2024年4月の法改正により、労働条件明示の要件は以前より厳しくなっている

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参考法令・判例

  • 労働基準法 第89条(就業規則の作成・届出義務/絶対的・相対的必要記載事項)
  • 労働基準法 第15条(労働条件の明示義務)
  • 労働基準法施行規則 第5条(2024年4月1日改正施行:有期労働契約の更新上限・無期転換ルールの明示義務化)
  • 労働契約法 第16条(解雇権濫用法理:客観的に合理的な理由を欠く解雇は無効)
  • フジ興産事件(最高裁判所第二小法廷 平成15年10月10日判決):懲戒処分の有効性には就業規則への懲戒種別・事由の事前規定が必要であることを示した判例

執筆:ZEST社会保険労務士オフィス
※本記事は2026年4月時点の法令・判例に基づいています。法改正により内容が変わる場合があります。最新情報は厚生労働省ウェブサイト等でご確認ください。

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