業務委託契約と雇用契約は何が違うの?
―「指揮命令」と「諾否の自由」で見極める働き方の実態―
今回は、厚生労働省|あなたの働き方をチェックしてみましょう(令和6年10月)を参考に、業務委託契約と雇用契約の違いについて解説します。
🔍 形式より「実態」が大事
契約書に「業務委託」と書かれていても、実際の働き方が雇用契約に近ければ、労働者性が認められる可能性があります。
この場合、労働基準法や社会保険の適用対象となり、企業側には法的責任が生じます。
✅ 判断のポイント①:指揮命令関係
- 雇用契約:業務の内容・方法・時間・場所などについて、会社の指示に従う義務がある
- 業務委託契約:業務の進め方は原則自由。依頼者の指示に従う義務はない
「日々の仕事の進め方を誰が決めているか」「業務遂行上の拘束があるか」が判断基準とされています。
✅ 判断のポイント②:諾否の自由
- 雇用契約:業務命令に対して拒否できない(就労義務あり)
- 業務委託契約:依頼された仕事を断る自由がある
「仕事を頼まれたときに断れるかどうか」は、労働者性を見極める重要な要素です。
諾否の自由がない場合は、実質的に雇用関係とみなされる可能性があります。
✅ その他の判断要素
厚労省のチェックリストでは、以下の項目も補強要素として挙げられています:
- 報酬の労務対償性(時間給・日給など)
- 専属性の程度(他社の仕事ができるか)
- 代替性の有無(自分以外の人に業務を任せられるか)
- 資機材の負担(誰が道具を用意しているか)
これらを総合的に判断し、形式ではなく実態に基づいて労働者性を判断することが求められます。
✨ 社労士としてのひとこと
働き方の多様化が進む中で、「業務委託」と「雇用」の境界はますます曖昧になっています。
社労士としては、本来は労働者であるのに業務委託契約を結ぶことで苦しむ労働者がいてはいけないと思いますし、会社としても業務委託契約が雇用契約と認められた場合には多大な未払い残業代や社会保険料が発生するリスクがありますので慎重に判断すべきと思います。
ご縁ある皆さまに、少しでもお役に立てれば幸いです。
