自営業の妻は扶養に入れる?


社会保険の「収入要件」ってどう判断するの?


今回は「自営業の妻は夫の扶養に入れるのか?」という、よくある労務相談についてまとめてみました。


💡 結論から言うと…

自営業でも、収入要件を満たせば扶養に入れます。
ただし、給与所得者とは違って「収入の判断方法」が少し複雑です。


✅ 社会保険の扶養に入れる条件(自営業の場合)

1. 年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)

これは原則ですが、問題は「収入って何を指すのか?」という点です。

2. 収入の判断方法は「所得ベース」

自営業の場合、給与のような月給ではなく、売上から経費を差し引いた「所得」で判断されます。

判断基準内容
売上高事業の総収入(例:300万円)
経費必要経費(例:200万円)
所得売上 − 経費(例:100万円)→この金額が130万円未満なら扶養に入れる可能性あり

※ただし、健康保険組合によっては「経費の認定基準」が異なるため、同じ収入でも判断が分かれることがあります。


📌 実務で注意すべきポイント

  • 確定申告書の「所得金額」で判断されることが多い
    → 青色申告特別控除(65万円)は差し引かれないケースが多いので注意
  • 健康保険組合によって基準が異なる
    → 協会けんぽと企業の健康保険組合では、経費の扱いや判断方法が違うことがあります
  • 開業直後は「見込み収入」で判断される
    → 実績がない場合は、事業計画や見込み収入をもとに審査されることも

✨ 社労士としてのひとこと

「自営業だから扶養に入れない」と思い込んでいる方も多いですが、実際には所得の状況次第です。
ただし、判断が困難なケースもあると思います。その際は、保険者(協会けんぽ・健康保険組合)へ確認することが重要です。

現場では、確定申告書の読み方や経費の扱いについて説明するだけでも、相談者の安心につながります。
扶養の判断は、税法と社会保険で異なる点もあるので、丁寧な案内が求められるテーマですね。


次回は「扶養の範囲を超える月収になってしまったらすぐに外れないといけないの?」について書いてみようと思います。
ご縁ある皆さまの実務に、少しでもお役に立てれば幸いです。


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