今月だけ収入が増えた!扶養から外れる?
―月収88,000円の壁と今後の制度改正について―
今回は「たまたま今月だけ収入が増えてしまった!」というケースについて、社会保険の扶養判定と、今後の制度改正の動きも交えてご紹介します。
💡 よくある相談
- 繁忙期で残業が増えた
- 特別手当が支給された
- シフトが一時的に増えた
こうした事情で、月収が108,333円(=年収130万円の月換算)を超えてしまった場合、「扶養から外れるのでは?」と不安になる方も多いです。
✅ 単月の収入増加で扶養から外れる?
結論:一時的な収入増加であれば、すぐに扶養から外れることはありません。
社会保険の扶養認定は、今後1年間の収入見込みで判断されます。
そのため、単月で108,333円を超えても、継続的な収入でなければ扶養継続が認められる可能性があります。
⚠️ ただし、社会保険加入要件には注意
現在、週20時間以上働く方が社会保険に加入するには、以下の要件をすべて満たす必要があります:
- 週20時間以上の所定労働時間
- 月収88,000円以上(年収換算で約106万円)
- 学生でない
- 従業員数51人以上の企業に勤務
このうち、「月収88,000円以上」という要件は、最低賃金の上昇により事実上すべての週20時間以上労働者が該当するようになってきています。
🔄 今後の改正予定:88,000円要件は撤廃へ
「月収88,000円以上」という賃金要件は撤廃される予定です。
背景には、最低賃金が全国的に1,000円以上となり、週20時間働けば自動的に88,000円を超える状況があるためです。
改正後は、以下のような要件で社会保険加入が求められる見込みです。
- 週20時間以上の労働
- 学生でない
- 従業員数51人以上の企業に勤務
※月収要件は撤廃
✨ 社労士としてのひとこと
「今月だけ収入が増えた」というケースは、扶養判定でも社会保険加入判定でも、一時的か継続的かが重要なポイントになります。
また、制度改正により、今後は収入額ではなく労働時間を軸にした判定が主流になる可能性があります。
社会保険加入には「学生でない」という要件があることから、学生アルバイトは社会保険適用の会社からはとても重宝されます。
17時~22時、週5で勤務する学生アルバイトの方などは神ですね。
企業としては、対象者の洗い出しや制度対応の準備が求められる時期です。
社労士としては、こうした変化をわかりやすく伝え、安心して働ける環境づくりを支援していきたいと思います。
次回は「2025年10月から19歳以上23歳未満の扶養の基準が変わる」について書いてみようと思います。
ご縁ある皆さまの実務に、少しでもお役に立てれば幸いです。